【戦いの3つのベクトル】

 
1月18日 ·
 

【戦いの3つのベクトル】
「世界の歴史17巻ヨーロッパ近世の開花(p196~203)」によれば、三十年戦争には3つのベクトルがあるという。一つは、オーストリアからバルト海への南北に縦断するベクトル。北へ伸張を図るハプスブルグ家とバルト海周辺諸国の対立。デンマークスウェーデンの参戦がこのベクトルを代表する。第二のベクトルは西ヨーロッパ中央部を東西に横断するラインファルツからフランス国境、ネーデルラントに至るベクトル。16世紀以来のオランダとスペイン、フランスとオーストリアの対立がライン地方を戦場にした。この2つのベクトルの陰にあったのが第3のベクトルで、北イタリアのロンバルディアからアルザスを経てフランドルに至る「スパイン街道」に沿ったベクトル。神聖ローマ帝国とフランスの境界線上にあり、この線はスペインにとってもネーデルラント支配の軍事回廊であり、『大スペイン帝国』の生命線。また北イタリアはフランスも深い利害を持っており、北イタリアの小国「マントヴァ公国」の皇位継承をめぐってフランスとスペインの対決が西ヨーロッパの覇権をかけて新しい戦線を作った。三十年戦争が終わってからさらに11年続き、1659年のピレネー条約でようやく終結することになった。この結果、ヨーロッパの覇権はスペインからフランスに移った。三十年戦争宗教戦争から始まったが、途中からは列強の覇権争いと理解するのが妥当だろう。